供託中の従前の金額を減額しても契約解除の事由にならないとした事例

  • 2008/11/19(水) 09:25:00

 判例紹介

 供託中の従前の金額を減額して供託したとしても、それだけで契約解除の事由にはならないとされた事例 東京地裁民事49部平成13年6月15日判決 未掲載)

(事案)
 YはXより借地しているが、昭和54年9月分以降の地代の改定をめぐってXと争いが生じ、以来、供託を継続している。

 当初月額3947円を、昭和55年3月から平成10年6月分までは、4680円を、同年7月分から平成11年4月分までは1万920円をそれぞれ供託していた。

 ところが、Yは平成11年5月分からこれを7800円に減額し、平成12年4月20日に9万3600円(7800円の12ヵ月分)を供託した。

 Xは平成12年5月25日到達の内容証明郵便によりYに対し、平成11年5月分から12年4月分までの賃料につき従前の供託額1万920円と7800円の差額及び同年5月分1万920円を同月末日までに支払うよう催告し、これを支払わなかったときは、賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたが、Yは指定された日までに支払わなかった。

 そこでXは賃料不払いを理由に契約を解除し建物収去土地明渡しを求めた事案。X敗訴。

(判旨)
 「確かに前継続中にYが相当賃料を1万920円であると主張し、実際にも同金額で供託したところ、Xも前訴における弁論において同金額が相当賃料であることを争わなかったことが認められるものの、前訴はそもそも賃料額を確定するための裁判ではなく、本件賃貸借契約の存続期間の満了に基く土地明渡請求であることは前判示のとおりであるから、その口頭弁論における訴訟上の主張において一部争いのない部分があったとしても、それが本件賃貸借契約における賃料額に関する合意を変更するという実体法上の意思表示としての性質を有するものではない」。

 「借地法12条2項所定の相当賃料とは、客観的にみて適正な賃料を指すものではなく、賃借人が自ら相当と認める賃料をいうものと解されるから、原則として供託額が減額されたことだけをとらえて不当することはできない

(寸評) 
 当然の判決である。 しかし、借地人が自ら相当とする賃料がもともと近隣地代の実勢価格より低い場合とか、公租公課を下回っている場合に一方的に供託額を減額することは、債務不履行になることもあり、注意を要する。

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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