*競売で建物を買受けた者に、その敷地の賃借権は取得しないとした事例

  • 2008/11/13(木) 09:26:20

 判例紹介

  不動産競売手続で建物を買受けた者に対して、その敷地の賃借権を取得しないとして、建物の収去義務を認めた事例 最高裁第三小法廷・平成12年12月19日判決。インターネット速報)

(事案)
 1、 Aは、Bから同人の所有する土地(本件土地)を含む宝町1丁目16番2の土地の一部及び同番14の土地を賃借していたが、Bの死亡によりその相続人Cと昭和49年5月23日、改めて賃貸借契約を締結した。

 2、Aは、昭和51年5月頃、本件土地上に建物(本件建物)を建築することとし、前妻の子であるD名義で建築確認申請をし、同年11月に完成した。昭和52年2月28日、本件建物は、家屋補充台帳にDを所有者として登録された。以後、Aは本件建物に課税された固定資産税をDの名義で支払い、家屋台帳への登録を事後的に承認していた。

 3、本件建物について、昭和62年4月17日Dを所有者とする所有権保存登記がされた。保存登記はDが、その所有権を証する書面として、建築請負人である工務店の建築工事完了引渡証明書、工事代金領収証、取締役会議事録とともに、固定資産税課税台帳登録事項証明書を提出して手続したもので、Aの知らないうちにされたものであるし、AはDが本件建物の登記名義を有することについては、これを黙示的にせよ承認したことはなかった。

 4、Dは昭和62年10月、本件建物をAの五女の夫であるEに売買を原因とする所有権移転登記手続をした。

 5、Eは、昭和62年10月26日本件建物につき、Fとの間で根抵当権設定契約を締結し、権利者をF、極度額を1000万円、債権の範囲を金銭消費貸借取引等とする根抵当権設定登記手続をした。Fは本件保存登記及びE名義の所有権移転登記を信頼したことにつき善意無過失であった。

 6、Fは、前記根抵当権に基づき平成2年3月、東京地裁に本件建物の不動産競売の申立をし、不動産開始決定がなされた。乙(被上告人)は平成6年11月15日、右不動産競売申立事件において本件建物を買い受け、同月16日所有権移転登記手続をした。

 7、甲(上告人)は、昭和53年5月にAと結婚した。Aは平成元年5月2日、甲に対し、本件土地の賃借権を含む財産を贈与した。

 右の事実関係をもとに甲は乙に対し、本件土地について有する賃借権に基づき、本件土地の所有者の所有権に基づく返還請求権を代位行使して、本件建物を収去、土地明渡等を求めていた事案。

(判旨)
  「…建物について抵当権を設定した者がその敷地の賃借権を有しない場合には、右抵当権の効力が敷地の賃借権に及ぶと解する理由はなく、右建物の買受人は民法94条2項、110条の法意により建物の所有権を取得することとなるときでも、敷地の賃借権自体についても右の法意により保護されるなどの事情のない限り、建物の所有権とともに敷地の賃借権を取得するものではない…」

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


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